さて、前回の基本編に気引き続き、今回は治療編です。※【基本編】アトピーから学ぶ、スキンケアのコツアトピー・湿疹治療の3本の柱アトピーや湿疹の治療には「基本的スキンケア」「悪化因子の除去」「薬物療法」という3本の柱があります。以下で説明していきます。1本目 : 基本的スキンケア ~皮膚のバリアを守ろう~基本編は読んでいただけましたか?そちらでも触れていますが、兎にも角にも、「保湿」と「洗いすぎないこと」が大切です。1) 何はさておき、とにかく保湿!乾燥すると皮膚の表面が傷むため、外の刺激から身を守れなくなります。こまめに保湿をして、「1つ目のバリア」をしっかりと支えましょう。【ポイント】軟膏、クリーム、ローションやフォームなど、様々な剤形があります。どれを使用してもらってもいいです。一般的には「ベタベタしている」ものの方が保湿力が強いです(軟膏>クリーム>ローション)。しかし、部位や季節によっては使いづらいこともあるので都度調整してみてください。ちなみに、種類よりもこまめな保湿に勝るものはありません。2) 洗いすぎないようにしよう!アトピーや乾燥肌の人は皮脂の分泌も少ないため、皮膚に水分をとどめることが苦手。お湯で流すだけでも皮脂は落ちますので、必要以上に落とさないようにしましょう(洗い物でも油汚れはお湯だけでかなり落ちますよね)。首から下、特に下半身の皮脂分泌は少ないため、洗いすぎには注意しましょう!【ポイント】・石鹸やボディソープの使用は必要最小限に。・あかすりやボディタオルなどは使用しない。・洗う場合は泡立てて手で洗う。2本目 : 悪化因子の除去 ~刺激を取り除く~悪化の原因になる汗・ほこり・汚れなどは、出来るだけ早く洗い流しましょう。部屋もきれいにしておきましょうね。【ポイント】(1)水で流すだけで〇表面に載っているだけなので、さっと水で流すだけでもOK。濡れタオルでも可。早めに取ってあげましょう。(2)汗ふきシートはアルコールが入っているので皮膚があれる人もいます!汗ふきシートはものによってアルコール成分が含まれている物もあります。必要な皮脂まで落としてしまい乾燥が悪化したり、肌が荒れる人もいるので注意を。(3)保湿をしっかりと「汗をかくから保湿はいらないでしょ?」という声をよく耳にしますが、これは間違いです。暑いと余計に皮膚は乾燥しますし、むしろ保湿をしておくことで、汗や汚れなどをはじいて、刺激から皮膚を守ることができます。しっかりと保湿しましょう。3本目 : 薬物療法 ~上手に塗り薬を使おう~湿疹の治療はステロイド軟こうが治療の中心。皮膚の炎症を抑えるために使用します。炎症を抑えることで、かゆみ・湿疹の悪循環を改善します。また、皮膚のターンオーバーも正常化し、早く健康な状態の皮膚に戻ります。※その他、タクロリムス軟こう、注射・内服などもありますが基本はステロイド軟こう。ステロイド心配あるあるQ. ステロイドを塗ると色素沈着が心配…A. お薬の副作用ではなく、皮膚の炎症の影響です。炎症が改善する過程で、一時的に日焼けのように茶色くなることもありますが、治療経過とともに改善します。Q. 全身の副作用が心配…A. 糖尿病・成長障害・免疫低下は、塗り薬ではなく、内服や注射の場合に起きる副作用です。軟こうはどのくらい塗ればいいの?参考ページ皮膚用薬(塗り薬)ってどのくらいの量を塗るのがいいの?|ひふ研|第一三共ヘルスケア軟こうを塗る分量の目安としてFTU(フィンガーチップユニット)と呼ばれる単位が使われています。FTUは大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量で、軟膏やクリームでは、1FTU=約0.5g程度となっています(製剤でばらつきはあります)。1FTU(約0.5g)は、「大人の手のひら2枚分」の面積程度に相当します。塗る量が少し多く感られじるかもしれませんが、十分な量をしっかり塗ることで、期待する効果が得られやすくなります。(「塗ってるけど効果がない」と言うときに、単純に使用量が足りてないということがよくありますね)皮膚の状態が良くなってきたら?「プロアクティブ療法」をめざします!症状が悪化したときに、その都度治療するのをリアクティブ療法と呼びますが、一度症状が出ると皮膚が元に戻るのに時間がかかり、ステロイドの使用量が増えてしまいます。そもそも、アトピーの人は慢性的に皮膚の炎症があるので、一見よくなっていても、水面下では炎症が起きています。一度しっかりと治療を行った後、症状が出ない範囲でステロイド軟こうの外用を徐々に減らし、水面下の炎症を抑えていく方法をプロアクティブ療法と呼びます。当院ではこちらを目標に治療を行っていきます。以上が治療編になります。基本編と併せて読んでいただけると、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹・乾燥肌などの治療のイメージがつかめるかと思います。わからないこと等があれば、ご相談ください。