「高血圧、糖尿病…一度薬を飲むとやめられないってホント?」健康診断や生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)で受診された方から、よくある質問です。実際の所、どうなんでしょう?結論から言うと、「やめることもできる」です(難しい場合もあります)。なぜなら、「生活習慣病だから」です。生活習慣病の治療のイメージは、治すではなくバランスをとるです。生活スタイルに主な原因があり、例えばガンのように取り除けばおしまい、と言う訳にはいきません。しかし、生活スタイルは「調整可能」なものです。最終的に安全な状態でバランスが取れるのであれば、お薬はいらなくなることがある、ということですね。治療のイメージ治療のイメージを見ていきましょう。(1) 生活習慣がコントロールできていない状態まだ生活習慣などの個人の要因のコントロールができておらず、治療も開始されていない状態。バランスとしては良くない状態です。(2) 投薬でバランスがとれた状態お薬を開始することで、個人の要因はそのままですが安全な状態にバランスが取れました。(3) 生活習慣が改善して来た場合生活習慣などの個人要因が改善してくると、お薬の作用が強く出てきます。(4) 薬剤減量が可能個人要因が改善されたことで、お薬を減量することが出来ました。このように、「安全な状態にバランスをとること」が治療のイメージになります。年齢や体質など、どうしようもない場合もありますが、生活習慣の改善や減量等をうまく行う事で、お薬を卒業していった方もたくさんいます。また、様々な理由でなかなか生活習慣の改善や減量が難しい方は、一度投薬で安全な状態にバランスを取り、その後生活習慣等を改善しながら徐々にお薬を減らしていく、という作戦も立てられます。生活習慣病にかかわらず、多くの場合、この「天秤モデル」で治療イメージがつかめます。さて、私たち医療者は、お薬の処方や一緒に治療戦略を立てることはできます。しかし、それだけでは本当の解決にはなりません。みなさん自身が変わっていくことこそが治療上、最も大切になってきます。ぜひ、ご自身の状態を当てはめてみて、自分に改善できることは何かを考えてみてくださいね。どうしていいかわからないときは一緒に考えていきましょう。