鼻水・くしゃみ・鼻詰まりといった症状を引き起こすアレルギー性鼻炎。悩まされているかも多いかと思います。アレルギー性鼻炎のうち、年中発生するものを通年性アレルギー性鼻炎といい、主な原因としてダニ(ハウスダスト)が挙げられます。また、季節性があるものを季節性アレルギー性鼻炎といいその代表的な原因としてスギ花粉があります。これらを根治あるいは症状の改善が期待でき、自宅で出来る「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」を紹介します。舌下免疫療法とは免疫舌下療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を、少量・長期間にわたり投与することで、体を慣れさせて、アレルギー反応を起こしにくくする治療法です。免疫舌下療法とその他の治療法の、症状を抑える効果は以下のような順になります。症状を改善する効果が高いということがわかりますね。また、舌下免疫療法の最大の特徴は治る可能性がある治療法だということです。一般的な内服薬や目薬・点鼻薬の効果は「症状を抑える」のに対し、免疫舌下療法の効果は「アレルゲンに対する反応そのものを抑える」ので、鼻炎そのものが起こらなくなるという訳です。治療上の注意点は、以下の点です。(1) 治療期間は3〜5年以上3-5年程度治療を継続することで十分な効果が期待され、治療終了後も7〜8年の効果持続が報告されています。大変ですが、長期間しっかりと治療することが重要です。(2) 効果に個人差がある効果の出方には個人差があります。3年以上の治療で、80%の方が効果を実感し、うち30%の方が症状が完全に消えたとの報告があります。また、治療効果を感じるまでには1年以上かかるとの報告もありますので、その間は必要に応じて他のお薬も併用しながら症状をコントロールしていきます。治療を受けられる人さて、舌下免疫療法はどんな人なら受けられるのでしょうか?鼻炎の種類スギ花粉症の方ダニアレルギーの方いずれも、血液検査など(特異的IgEなど)で確定診断を受けていることが必要です。※スギ、ダニの両方にアレルギーがある場合でも、双方治療の可能です。安全のため1種類のみ開始し、1ヶ月以上経過して問題が無ければ2種類目の治療を開始します。年齢小学生以上、65歳未満治療にあたっては長期の治療継続・血液検査などへの協力、適切に副作用などの症状を訴えられるなど、お薬を服用するご本人の理解力と協力が欠かせません。一般的に目安として「小学生以上」とされています。また、65歳以上の方は治療効果出づらいため、治療対象外となっています。治療を受けられない人下記に当てはまる方は、治療を行うことができません。対象のアレルギー(スギ花粉症、ダニ)ではない方重い気管支喘息の方悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方妊娠されている方、近いうちに妊娠希望の方重い心臓病の方ステロイド薬や抗がん剤使用中の方自身で副作用を訴えられない方定期的な通院が難しい方βブロッカー内服中の方治療を始めるタイミング舌下免疫療法には、治療を開始できるタイミングがきまっています。スギ花粉 : 6月中旬〜11月花粉が飛散していない6月中旬〜11月に治療を始めましょう。理由は、スギ花粉が飛んでいる時期だと、アレルゲンに敏感になっているため、副作用が出やすいということがわかっているからです。ダニ(ハウスダスト) : いつでも可通年性アレルギーの原因であるハウスダスト・ダニは特に季節性の変化はないので、治療はいつ始めても大丈夫です。当院での治療の進め方(1)アレルギー有無の確認スギまたはダニのアレルギーの確定診断が必要です。アレルギーを証明できる血液検査結果、皮内反応検査などお持ちの方は持参ください。項目が不足する場合や診断がついていない方の場合、初回時に血液検査を行い、治療対象かどうかの判断を行います。(2)初回の内服(クリニック内)スギまたはダニへのアレルギーがあると確認でき、治療計画・注意点に同意いただいた後、治療開始となります。治療ではアレルゲンを投与するため、重症のアレルギー反応(アナフィラキシー)が出現しないか、初回服用時は注意が必要です。安全のために初回服用は院内で行い、30分は経過を見させていただきますので、初回服用日は11:00までに御来院ください。(3)2週間、毎日家で舌下錠を使用クリニック内での初回服用が問題なく終わると、翌日からはご自宅での服用になります。アレルギー成分の少ないものから始めていきます。2週間自宅での服用を続けていただいたのち、再度クリニックを受診していただきます。アレルギー物質を身体に取り入れるため、軽い副反応が約65%の人に現れます。その多くは口の中の腫れやかゆみ等ですが、軽症ですので何もしなくても次第に治るのが通常です。症状が長引く場合は、受診してください。(4)3~5年ほど服用を続けていきます。副反応に注意しながら1ヶ月に1度の通院で3~5年間の治療を行います。十分な効果を得るために、3年以上は治療は続けましょう。いかがでしたか。まずは相談からということでも構いませんので、お気軽にお越しください。